勿論、消費者金融は借りて返済できないと最初から分かっていたら契約しません。いくら信用情報機関から個人信用情報を入手して、途中で返済できなくなることはないと判断しても失敗することはあります。重要なのは、どの時点で怪しい雰囲気を醸し出してくるか。そこを見ています。返済できない客には必ず兆候があります。自殺する前に身辺整理するように、消費者金融への返済ができなくなってくると必ず兆候が出てきます。消費者金融は審査のプロとは言いますが、エスパーではありません。なので、100%完全回収というのはあり得ません。
一般的に大手消費者金融の貸倒率は4%~5%と言われていますが、中小消費者金融になると2%~3%です。おかしいですよね?そもそも中小消費者金融に借りに来る人は大手で断られたブラック属性が多いのにどうして貸倒率が低いのか。それは、基本的に審査も返済も店頭窓口で行うことが一般的だからです。
つまり、毎月のように顔を突き合わせていれば「こいつヤバくね?」と感じることができます。返済できない客の兆候さえ掴んでしまえば、早め早めの借金回収対策が取れます。では、どのような客が危ないのか?街金業者は客のどこを見ているのか?
返済額が急に少なくなる
いつもなら、キチンと元金と利息を支払っているのに、返済額が急に少なくなり始めたら危険な兆候です。会話しながら窓口で領収書を発行するので「どうしたの今月は?何かあった?」と話すことができますよね。人間は正直にできているので、電話だと多少嘘を付けたとしても直接面と向かって相手に嘘を付くのは難しいです。目を合わせようとしない、俯き加減、目が泳ぐ、ソワソワ、汗をかく、身体が小刻みに震えるなど、必ずと言っていいほど反射的な反応を見せます。
返済額が少なくなった理由にしても、取って付けたかのように「旦那が病気になっちゃって」「子どもが事故を起こしちゃって」など、いかにもお金が足りなくなったため返済額が減ったのだと強調します。返済できなくなると、あちこちの返済先に言い訳をしなければならず、どこにどのような言い訳をしたのか把握できなくなります。翌月も「今月は悪いけど利息だけ」と言ってきたら「どうしたの?」と理由を聞くと前回と同じ答えをしてしまうことがあります。そんなに子どもが事故をするのかよ?と内心思いながらも「これはヤバくなってきたな」と判断できるんですね。
利息だけ振り込むようになる
今まで窓口払いで支払っていた客が利息だけ振り込んでくるようになるのも借金返済に困っている証拠です。対面で利息だけ支払うのは気が引けるのでしょう。振り込みなら利息だけ支払っていれば許してくれると考えているのかもしれません。しかし、こちらとしては契約違反なので当然取り立てを強めていきます。借金の自己解決が法律違反だと分かっていても、自宅を訪問し、金目の物があれば元金分としてもらっていきます。例えば絵画や骨とう品、盆栽などです。
携帯電話が頻繁に止まる
たとえ返済額がいつも通りでも携帯電話が頻繁に止まるのは、返済できなくなる客の特徴です。携帯電話が止まってもすぐに開通すればいいとしても、1週間くらい止まったままだと他の消費者金融からの督促電話が入っているのではないかと思います。面白い特徴として、電話督促すると口数が多くなる客もそうです。返済期日に遅れたら当然客に電話します。客からすれば、これは督促電話と分かっているので、何か胡麻化そうとして口数が多くなります。聞いてもいないことをペラペラ喋り、言い訳ばかり繰り返すのは明らかに怪しいです。
また、家族に内緒で消費者金融でお金を借りていると、家族が近くにいる場合、小声になります。「後で電話します」と囁くように言ったら要注意です。
自宅を訪問すると請求書が溜まっている
どうも態度が怪しいと感じたら即自宅訪問します。本人がいようがいまいが郵便受けを必ず見ます。公共料金や携帯電話料金の請求書など、そのまま放置していたら完全に返済不能な状況と判断します。たまに大手消費者金融の督促状が入っていることもあり、そうなれば待ったなしです。たまにチンピラ風のヤツが客の家の中を覗き込んでいるようであれば闇金から借りたなとなります。チンピラにと情報を聞き出して「今どこにいるのか分かる?」「親のとこじゃね?」となれば、早速少額訴訟の準備を始めます。少額訴訟で勝てるのは分かっているので、判決をもらうとすぐに執行官のところに行って強制執行を申し立てます。これで客の財産や給料を差し押さえることができます。
信用情報機関に途上与信として個人データを照会するまでもありません。照会したところで滞納しているに決まっているからです。闇金のデータは信用情報機関には入っていないので紹介手数料を支払うだけもったいないです。ヤバくなってくると客は必ず借入残高を聞いてきます。
毎月領収書をキチンと発行しているのにわざわざ借入残高を聞いてくるのは明らかにおかしいです。「金利はいくらだったっけ?」「いつ契約したっけ?」など細かく聞いてくるようなら、それは債務整理の準備です。おそらく弁護士や司法書士のところに相談に行く前に、事前情報として調べてくるようにと指示されたのでしょう。受任通知が届くまでが勝負なので早速訴訟の手続きと客のところに電話して「どうしたの?返済が苦しいの?相談に乗るよ!」と懐に飛び込みます。そこで客が素直に「債務整理をしようと思って」と言ってくれたら交換条件を提示します。
交換条件とは裏取引です。受任通知が届けば必ず金融事故情報として登録され、どこもお金を貸してくれません。いくら借金返済がなくなったとしても回し返済している状態で債務整理をしても、ちっとも経済的には余裕は出てこず、必ずお金が足りなくなります。そこで「うちの分だけ外してくれたら今まで通りお金を貸すよ」と話を持ち掛ければ、大概OKします。
「自己破産するのは自分でもできるしお金だってこっちで用意する。書き方も教えるよ!」と言えば「それなら助かる!」と逆に感謝されます。返済が危ない客の特徴として「長い付き合いだよね?」と言ってくる場合があります。実際消費者金融で10年以上借りている人の割合は半分くらいです。返済が苦しくなると、利息を負けてくれないかと言いたいところを「長い付き合いだよね?」と遠回しに言ってくるのです。
こちらとしても元金だけ返済してくれれば、今まで利息を払ってくれて十分利益を上げている客だからまぁいいかという感じで利息をカットしてあげたりもします。中小消費者金融は、客と持ちつ持たれつの関係です。大手ではそうはいきませんが、中小消費者金融は客があってこその商売です。持ちつ持たれつの関係で巧く立ち振る舞っていくのが腕の見せ所です。
返済が苦しそうだなという兆候を感じたら、自己破産や債務整理の方法を教えてあげるなど将来に渡って付き合っていくために、損して得取るということもよく考えることなのです。
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