YouTubeで「街金」と検索し、良さそうな動画をピックアップしました。
誰も教えてくれない金貸しの世界 街金編(前編)
街金業者になるまで
街金業界歴20年「ぼく、街金業者やってます」の著者テツクルさんのインタビュー動画です。テツクルさんは現在、池袋で街金業を20年程営んでいます。最近ではTwitterで債務者の愚痴などを呟いているらしいです。「ぼく、街金業者やってます」の上梓のきっかけは、Twitterに書いていたことをnoteにまとめたところ、フォロワーから興味を持たれて出版社を紹介されたことだそうです。
闇金や暴力的な内容の本は結構多くあるそうですが、街金というルールに縛られたなかでの作品はテツクルさんは見たことがなかったそうです。街金=闇金=闇金ウシジマくんという連想をしてしまいますが、街金って何?闇金とは違うということを街金歴20年で業界に詳しいテツクルさんがインタビューに応えてくれます。
街金とは法律に縛られてお金を貸すので闇金とは全く違います。漫画やドラマにあるような暴力を振るったりとか、無理やり高い金利を取ったりとかは全くせず、決まった法律の中で決まった金利でお金を貸すということをやっています。昔は「肝臓売れ」「目ん玉引っこ抜くぞ」など取立ての電話で言うことはあったそうです。大声で怒鳴るのはしょっちゅう。
法改正されて、そういうのは全部ダメというルールになったので、2002年以降は絶対ダメになりました。それ以前の取立てはメチャクチャでした。プロミスやアコムなどの大手消費者金融と街金は、基本的には全く同じです。会社や貸付額の規模などで名前が分けられているだけです。街金は中小企業のようなもので、店舗があちこちあるわけでもなく小規模でやっている貸金業のことです。街金はノンバンクであることは事実ですが、大手ノンバンクからすれば「全く別物だ」と言われてしまうそうです。
街金は都内での登録件数が1000件を越えているので、どこの駅でも本来はあるものですが、目立った看板は出していません。
テツクルさん自身も高利貸しから借金をして返済ができなくなり、働いて返せというところから始まり、この業界の経験を積んで今に至ります。テツクルさんは飲食店を経営していて、運転資金が回らなくなり、紹介してもらって借りた街金が実は闇金だったということです。ということで、最初は闇金で働いたそうです。
闇金の事務所はほぼ無法地帯。酷い従業員も沢山いたそうです。取立ての仕方がメチャクチャ。常に大声が飛び交い、ストレスが溜まる事務所でした。お金を貸す人は細かい人が多く、事務所も綺麗です。身の回りのことも細かく言う人が多く、そういう人が向いているんだと思います。
常にルールがない環境にいたため、当時の社長からは違法なことをやらされていたそうで、常に命がけの状態でした。当時は運転手をやらされていて、時間内に着けない場合は「一方通行を入って行け」とか、「市街地を時速120kmくらいで走れ」といったことは実際にありました。
テツクルさんが道路交通法を守ることよりも他の人との約束を優先するため、人として見られていなかったそうです。そこから街金で働くことになりました。闇金の社長の先輩がスポンサーをやっている街金です。
テツクルさんは元々100万円借りていたのが900万円に膨れ上がりましたが完済しました。4年半で給料から天引きでの返済でしたが、完済してからは「完済おめでとう」「完済ありがとう」などの労いは全くなし。完済してからも街金業界で働き続けたのは、性格に合っていたからだそうです。また、この職業面白いなということもあったし、抜け出せない雰囲気もあったそうです。当時の上司にお世話になったため、義理を果たさないといけないなという思いも。
街金でお金を借りる人たち
銀行やノンバンクなどで借りることはできますが、街金でお金を借りるのは、そこでお金を借りられない人たち、つまり多重債務者や色々なところでバランスが崩れている人で、そういう人たちの割合がほぼ100%です。銀行 > ノンバンク > 街金というイメージです。
街金に来る大半の人の目的は他社の返済です。あとは、生活費の不足や事業資金の不足などです。社長さんが月末の支払いや給料の支払いができないので貸してほしいというケースもあります。そういう人たちの特徴は、その時点で経営がほぼ破綻している状態で、その前に資金繰りがキチンとできていなかったことにあり、色々と杜撰でだらしないことが多いです。
個人の場合は、ギャンブルや会社のお金を使い込んでしまったりと、自分の欲を満たすためにお金を使っているケースが多く、そういう場合もだらしないことが殆どです。
どういう人が多重債務者になるか
途中から多重債務者になるケースは少なく、もともと持った性格が大きいです。身の回りがだらしない、予定を守らないという人が多重債務者になる可能性を秘めています。借金を払えなくなった人は結局は詰まって破産になりますが、まずは他社から借りて調達してうちに返してよと催促します。
多重債務者は高金利の街金からお金を借ります。街金で借りた人の30%が返済できなくなります。綺麗に返し切る人はゼロです。不動産を売って返す、借り換えをして返すというケースが殆どで、自力で返すというケースはありません。その中で返す人は、運良く仕事で大きい利益を生んだというケースがありますが稀です。
印象に残っている債務者
長い付き合いの宅建業者で、不動産会社が管理している物件を担保にお金を借りに来るそうです。大家さんを丸め込んで連れて来るという達人です。どうやって口説いているか分かりませんが、複数の大家さんを連れて来ます。他人の不動産を担保提供させてしまう程のテクニックがあれば、不動産をバンバン売れそうなものですが、不思議と本業は上手くいっていません。
一人の大家さんの物件を担保に持って来て、家賃の集金も任されているので、預かった家賃から利息払って、その後に強引に金額を合わせて大家さんに収めるということを毎月繰り返し、それを何件もやっています。テツクルさんの街金では同時に3人の大家さんの物件を担保にお金を貸したことがあるそうです。
大家さんは不動産業者を信用しているので、特に揉めることなく連帯保証人の押印をしてくれるそうです。そういう人はフワッとしていることが多く、不動産屋の社長なので悪そうには見えないというところから騙されてしまいます。そして借金が返せなくなって物件がなくなってしまうケースは半分くらいですが、それでもその宅建業者はその地域で営業を続けています。大家さんとトラブルになったケースもあれば、ならなかったケースもあるそうです。
他には、審査の際に会社の財務資料や返済原資になる資料、過去の取引記録などが全部偽造で騙されたことがあるそうです。大手企業からの発注書や実際に押印されているものがいくつも出て来たり、通帳の入金記録に大手企業からの数千万円の入金があったりすると信用してしまったということです。
自分の口座から振り込む場合、振込名義を変更することができるので、それを信用して貸してしまった。請求書、納品書、発注書なども全て偽造。実際に請求書の社名が入っている会社の人に問い合わせをして「そんな取引はないよ」と教えてもらって発覚しました。
その人にはお金が残っていなかったので、会社の備品や社長の私物などを換金させたり、微々たる入金予定の売掛金も全て差し押さえて回収しました。
誰も教えてくれない金貸しの世界 街金編(後編)
街金はどうやって儲けているか
まずは金利がそのまま利益になりますが、テツクルさん自身もお金を調達してそこに利息を払う必要があるので、その差額が利益になります。金利10%で借りて、テツクルさんの手取りが5%となっています。つまり、金利10%で貸付資金を調達し、債務者には金利15%で貸して差額の5%が儲けとなります。例えば1000万円を1年間借りてもらうと150万円の粗利となり、その内の50万円が手元に残ります。
利益を伸ばすには、貸出金額を上げていくか、顧客数を伸ばすかになります。大体、銀行ローンが1番目に付いているので2番目の貸出しとなるため、1人あたり1000~2000万円前後の価格帯が多くなります。新規客は月に10~15件ほどですが、今は1年サイクルでの返済を途中で返せなくなる人が多いので厳しいです。
集客はインターネットのリスティング広告とブローカーの紹介がほぼ大半です。不動産ブローカーがお金が必要だという人の情報を持っていて連れて来てくれます。そういう人と契約して融資します。昔はテレアポをしていましたが今はリストが手に入らなくなったのでしていません。あとはリピーターや債務者からの紹介というケースもあります。新規客とリピーターは9:1の割合でほぼ新規客です。
リピーターの割合が少ないのは、完済して綺麗な身になった人がほぼいないからです。そのため新規開拓をしていかないといけません。多重債務者がどんどん生まれくれないといけないという訳です。
街金のスポンサー(金主)はどんな人
個人の投資家や資産家、企業のお金を運用したいという人からお金を借りているケースが多いです。そういったスポンサーを最初に見つけたのは紹介です。それ以降はそこからの派生で人脈が広がっていきました。スポンサーは何人もいて、関係を維持して条件を緩くしてもらうことが重要になってきますが、その交渉が大変です。
スポンサーは皆わがままです。皆無茶を言いますが、街金はそれを笑顔で聞くしかないという厳しい立場です。スポンサーからお金を借りるタイミングは、融資する前日に取りに行くのが大半です。直接出向いて借りる場合と振込む場合と両方あります。「必ず現金で取に来い」という人もいれば、振り込んでくれる人もいます。
現金1000万円を取りに行くのは最初は怖かったですが慣れました。貸すためのお金を振込んでもらいましたが、その口座から引き落としがあり、当日慌てて金策に走ったという怖いエピソードがあります。そのときは、テツクルさん個人のお金と従業員のお金を足してお客さんに融資しました。
予定よりもお金の回収が遅れてスポンサーから叱られたことはありすが、大きなトラブルは今までにはなく、長くお付き合いしている人が殆どです。
取立てについて
取立ては1日3件が限界です。それを超えると1件ごとが疎かになり集中できなくなってしまいます。今は恫喝したり強く言ったりできませんが、払ってもらうためのテクニックはあります。怖いから払うということはできないので、面倒臭いから払うという風に考えさせないと思います。やたら電話が掛かって来て一瞬の隙も許してもらえないくらいネチネチ質問攻めにされると、皆面倒臭くなって優先的に払ってくれるというケースはあるので、今はそれを心がけています。
電話をしても払ってもらえないので「今から会いましょうか」「今からお邪魔していいですか?」と言って払わざるを得ない状況に持って行かないといけません。電話1本で払ってくれる人は殆どいません。実際に会いに行っても嫌がられるし、満額集金は滅多にありません。
電話の会話で債務者を「お前」と呼ぶと大抵の人は「お前って何だ!」と怒る。そこからクールダウンして「さっきはゴメンね」と話をすると急に距離が縮まったりして「じゃあ払います」という流れになることもあります。怒鳴り合う、罵り合うということは電話で1回はします。
昔の取立てで酷かったのは、車に乗らないといけない状況に持っていき、朝から債務者の家の門前に車を停めて出入りができなくしたり、会社に電話して大声で喚くなどはよくやっていました。飲食店に取立てに行ったときは営業が終わるまでずっと店内で飲み食いして待っていて、その日の売上を全部集金するということもありました。そういうのは日掛といって毎日集金に行くということはよくありました。
開店と同時に店内に居座り、客の入りをチェックするといいながら、酷い場合には飲食代を踏み倒したりする業者もいました。このように、大きなダメージになることを選んでやっていました。暴力を振るうことはありませんが、ネクタイを掴むくらいまではやりました。
債務者の不動産に入って中を物色する際、鍵穴をボンドで埋めて外から入れなくするということは実際にやりました。中で色んな証拠を探している最中に関係者が外から入って来て邪魔されないようにするためです。最終的には大家から訴えられて負けました。
取立てで身の危険を感じたことは最近ではありませんが、かつては同業者と回収の取り合いをして暴力事件になったり、車に押し込まれたりということは何回かありました。車に押し込まれたときは、1時間くらい走って河原に捨てられました。同業他社かどうかは分かりませんでしたが、本当の多重債務者だったので、危ないところから借りていた可能性もあります。
現在は貸金業者に対する都庁のチェックが物凄く厳しく、クレームが入ると都庁の職員がすぐに飛んで来ます。少し強面の人が必ず1人付いて来て、非常に嫌な思いをします。なので皆大人しく営業しています。やって来るのは貸金業の免許を管理している部署の人たちです。
やって来たときに調べるのはいかにも都庁の職員ですが、世間話やちょっかいを出して来るのが後ろにいるフーテンの迫力のある強面の人です。警察やOBが出向しているんだと思います。そこは絶対に逆らえません。逆らうとそこで貸金免許剥奪となります。
貸金業の免許は貸金業の取扱主任者という資格を持つ者が必ずいて、資本金は5000万円以上必要です。貸金業を申請するときの書類も物凄く大量にあって割に合わない感は正直あります。資本金の5000万円はなかなか用意できませんが、頑張って集めるしかありません。テツクルさんコツコツ貯めていたそうですが、スポンサーから借りて資本金にするケースもあるそうです。
街金の仕事内容
朝出勤して最初は取立ての電話をします。前日、退勤までの間に入金を確認できなかった債務者に対して電話をかけます。その後、リスティング広告への問い合わせの対応や新規客の対応などをします。15時を過ぎた頃からまた取立てを始めます。これが1日の流れです。営業時間は8:00~19:00となっていますが、19時では上がれません。2~3時間は毎日残業します。
大手企業は残業を少なくする流れですが、街金はブラックなので全くありません。土日はリフレッシュのため休んでいます。ただ、債務者から電話があった場合はすぐに対応しないといけません。今は365日着金の確認ができるので、休みの間でも対応します。休みでも重要な支払いがある日は気が休まりませんし、取立ての電話をすることもあります。
街金の給料はどれくらい?
他業種と比べてそれほど良いということもなく、完全に自力で新規客を獲得しない限りは歩合が付くケースもないので良い業界ではないです。固定+歩合です。固定給の年収は、30代半ばまでは年齢給ですが、それ以降は伸びが急に鈍くなり、40~50代でも手取り30万円未満の人もいます。業界の平均年収は歩合込みで600~700万円です。歩合がないと400~500万円です。
歩合は新規客を連れて来て、回収を終えたときに歩合が付きます。会社が取った利益に対する30%が歩合となります。返済の回収を終えるのは1年後なので、歩合が付くのも1年後となります。なので皆必死に取立てする訳です。その1年の間に辛くて辞めてしまう従業員もいます。歩合が入るまでに回収し切らないといけないので、気が遠くなります。
街金業界のスタープレイヤーは年収4000~5000万円の人もいました。当時はノンバンクに対する規制も厳しくなかったので新規客を流してもらえました。深夜になるとその人当てに謄本リストのFAXが届きます。そこに営業電話をかけると、ほぼほぼ皆契約します。それを毎月やるとそれくらいの年収になります。最近は個人情報がうるさくなったのでダメです。当時も個人情報を流すのはダメでしたが、緩かっただけです。
今でも個人情報を流してくれるように営業をかけていますが、厳しいです。今では年収2000万円稼ぐ社員がいたら立派だと思います。
どんな人が街金で働いている?
楽に稼げると思ってやって来る人が多く、その中でやっていくうちに「本当に向いているな」と気付いて続いている人は成績が伸びています。それ以外は1年以内に辞めていきます。お金を返さない人からの取立ては大変でしかありませんが、それでも気軽なイメージでやって来る人が多いです。「取り立てればいいんでしょ?」と言う人や、闇金ウシジマくんに影響されて入って来る人が多いです。
不動産屋で働いていたというバックグラウンドを持つ人が街金で働くことが多いです。あとは消費者金融の元社員。離職率は3年で90%超です。
街金の仕事のやり甲斐は?
基本ないです。誰かの為になっているということもなく、多重債務者が一瞬息抜きができるだけで、厳しい取立てがその後にある訳です。「何でこれやってるんだろう?」と思うことがあります。辞めたいと思ったことはありますが、これが天職だと思っているので、このまま続けます。
不動産と街金の関係
街金は不動産を担保に融資するケースが多いので、不動産業者と情報交換したり、街金が所有権を取った物件を買い取ってもらうというケースが多いです。いわゆる不動産担保ローンです。貸付条件は、期間は1年間の縛りがあるので上限金利年15%です。不動産査定を査定してその70%程度の範囲で融資をします。
不動産査定は自社でやる場合が殆どですが、付き合いのある業者にお願いすることもあります。具体的な査定は、近隣相場を調べます。あとは耐用年数や収益物件の場合は賃料から査定します。
殆どの利用者が銀行やノンバンクから既に借りていて、元本は若干返済しているけれどもお金が必要だという人です。「そこの余力のところにいくら貸してもらえないか」という相談内容です。つまり、銀行やノンバンクで使い切っていない部分を街金が融資するという訳です。
不動産業者の場合は、銀行から資金調達できないケースであったり、一般企業の経営者の場合は自宅や自社ビルを担保にして事業資金を調達したいというケースがあります。これらは全て経営が上手くっていない人です。
返せなくなったらどうなる?
不動産担保の場合は、それを売って返してもらうか、違うところで借換え返してもらいます。担保不動産を自社で買取ることもよくあります。Twitterでは「甲区に登る」と言っていますが、乙区で抵当権から所有権に変えるということがあります。最終的に転売益が利益になるので通常で貸し付けするよりも利益が伸びます。
全体の取引の中で不動産担保ローンの割合は80%くらいです。どこを得意としているかによりますが、不動産担保ローしかやらない街金もありますし、10%程度しか不動産担保ローンは扱わないという街金もあります。その中でも不動産担保をメインにするのは回収が楽だからです。担保があるので取立てを頑張らなくていいというメリットがあります。
デメリットは、街金は不動産のプロではないので、自身が査定した数字が間違っていれば回収が難航するケースもあります。それで物件が売れなくて2年程塩漬けになったという失敗は何度かあります。
地面師がヤバかった
地面師
土地や建物の所有者になりすまして売買契約を持ちかけ、お金をだまし取る詐欺を働く人や組織
有名な内田マイク、宮田康徳は仕事の関係で会ったことがありますが、ヤバイです。地面師は街金にお金を借りに来るので債務者の関係者として見ますが、皆雰囲気は詐欺師の装いはなく温厚で距離感が近くて親近感が湧くようなタイプです。物件を見に行ったときに現地で内田マイクと会ったことがあります。ものすごく温厚でゴルフが好きで「今度一緒に行こうよ」「色々教えてあげるよ」と話し、良いおじさんの雰囲気でしたが、後々そういう筋の人だという噂を聞いて、それ以降は会っていません。
その物件の所有者が資金繰りが苦しいのでお金を借りたいということで見に行きましたが、内田マイクはブローカーのポジションでした。「この人ヤバイな」というのは、打ち合わせの最中に小指が無かったので、その時点でダメだと思いました。仕事上、そういう筋の人たちとのニアミスはありますが、付き合って何もメリットはなく、連絡を折り返すことはありません。
多重債務者にならないためには
多重債務者には、なる人はなります。これは性格の問題なので、なってしまったらいかに早く返済を終えて逃げるかだと思います。なので自己破産を勧めています。借金を無くして再スタートすることは権利なので、それを是非早めに考えることを勧めます。
街金になって良かったこと、後悔したこと【消費者金融経営者】
街金になって良かったこと
闇金ウシジマくんやナニワ金融道を見ると「これって違法じゃないの?」ということが多々ありますが、闇金ウシジマくんはそもそも正規の貸金業者ではありませんし、ナニワ金融道は正規の消費者金融ですが、演出がされています。これらはあくまで映画やドラマの世界なので現実ではありません。
庶民金融の役割を果たせた
街金にお金を借りに来る人の属性は、大手消費者金融から借りられない、返済滞納やブラックリスト、申し込み方法が良く分からない、1万円だけ貸してほしい、高齢者で借りられないなどですが「どうしてもお金が必要なんです」とやって来て信用情報だけの表面的な審査だけで「これは無理ですね」と簡単に落とすのはあまりにも可哀想です。街金といえば地域密着ですからね。
また、スマホや自動契約機から申し込むのは結構難しいです。なぜお金が必要なのか、まずはじっくり話を聞きましょう、なんです。多少信用情報に難があっても門前払いはしません。信用情報だけが全てじゃありません。お陰様で大した広告を出していないのにお客さんは絶えませんでした。
顧客の借金相談に助力した
法律が改正されてからお客さんの相談に乗ることが当たり前になっていますが、街金を開業したときから借金問題について相談に乗っていました。以下のような相談です。
- 取り立てで困っている
- 多重債務を何とかしたい
- 自己破産するとどうなるのか
- 夜逃げするしかない
- 誰に相談したらいいか分からない
「法的にこうすればいい」と助言することはできませんが「このようにすればいいんじゃないかな?」的に相談に乗っていました。「借金で夜逃げするしかないんだけど」というお客さんには「こういう方法がありますよ」と、メリット・デメリットについて説明したものです。また「誰に相談したらいいのか分からない」という要望については「この弁護士がいいですよ」「この司法書士がいいですよ」と具体的に紹介しました。街金は単にお金を貸すだけじゃなく、お客さんの借金問題にも相談に乗っているんです。相談しただけでは儲けにはなりませんが、地元で営業している以上は相談に乗るのも仕事のうちです。
人脈が増えた
大人の事情があって詳しくは言えませんが、確かに人脈は増えました。そのお陰で街金営業30年を超えてもトラブルは一切ありませんでした。
- 弁護士や司法書士とのつながり
- 仕事先の紹介
- 債権回収の依頼先
- 国家権力との連携
- 大手消費者金融との情報交換
- 街の権力者とのつながり
人はお金で変わることが分かった
お金は魔物です。お金が絡むと人は変わります。お金に目が眩む。金の切れ目が縁の切れ目。街金をやってこれが良く分かりました。お金を借りるまでは低姿勢で「助かりました!ありがとうございます!恩に着ます!」という姿勢が返済となると渋るんです。「今はお金が無い。もうちょっと待ってくれ」と言い、あの言葉はどこに行ったの?となります。目的を達成するまでは本性を隠すのが人間であるということが良く分かりました。
相手の嘘を見抜けるようになった
街金は地元密着の庶民金融です。何とか貸し出す方向で相談に乗りますが、その中で相手の嘘を見抜けるようになりました。何故お金が必要なのか、いつ返済できるのかなど、面談しながら契約していくのですが、この途中で以下のような変化があった場合「これは嘘をついているのではないか?」と疑うテクニックが身に付きました。
- 目が左右に泳ぐ
- 瞬きが多くなる
- 1秒以上目を閉じる
- 会話中に顔を掻く
- 唇をすぼめたり舐めたりする
- 頭を左右に振りながら話す
これらの動作や仕草は学術的にどうのこうのではなく、今までの経験上、こちらが質問して本当の事を言っているときは上下に頷きながら、逆に嘘を言っているときは左右に頭を振りながら話すことが分かりました。人間不信になりそうです。
街金になって後悔したこと
お金を貸し過ぎて損切りできない
お金は人を変えるというのは私自身にも言えることで、欲に目が眩んで多く貸してしまい損切りできない。街金は小口融資なので多くても50万円が限度で、営業当初は10~20万円が限度でした。金利が高く、貸しても2年あれば元金は回収できて損はしませんでした。しかし、法律改正によって金利が引き下げられると、今までと同じような利息収入を得るためには、もっとお金を貸さなくてはならなくなりました。50万円以上貸すようになると、借りたお客さんの方が強くなります。「もうちょっと貸してくれないかな」と言われても嫌とは言えません。「もし貸さなかったら改修できなくなる?」と思い怖かったんです。
陰口をたたかれる
昔は「サラ金」「高利貸し」とさげすまれた業種です。後ろ指を指されることも多かったです。こちらとしては庶民金融として地元密着で相談に乗っていたのに、それを知らない人から見ればただの金貸しなんですよね。
人間不信に陥った
最終的には人間不信に陥ったというのが悔やまれることです。「結局人ってお金が全てなんだな」と思うようになりました。
街金経営者は魅力しかない
街金になって良かったこと、後悔したことを比べた場合、街金経営は魅力しかないが結論です。街全体として活気があるのか、その問題はどこにあるのかが見えたりします。お客さんは多業種にわたっているため、街全体として景気がどうなっているのかが見えます。「景気が良いな」と思えば法律の範囲内で金利を上げたり「景気が悪くなってきたな」というときには金利を下げて貸出金額を若干多くするなど自由です。
- 好景気、不景気に左右されない
- 上司に文句を言われない
- 街のことが良く分かる
貸金業に勤めると人間の本性が分かる
消費者金融への就職は抵抗がある人もいると思いますが、アコムやプロミスなどの大手だけではなく、LINEポケットマネーやファミペイローンなども含まれます。銀行カードローンにしても金利的に見ればネット銀行は消費者金融とあまり変わりないので、そんなに毛嫌いする必要はありません。なので「消費者金融=サラ金=人目が悪い」と思わずに就職活動をしてみてください。そうすれば人の本性が分かり、お金の大切さが分かります。更に給料は悪くないです。景気に左右されないので貸金業界は就職するのに値するだけのも威力があります。
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