保険営業マンは、高齢者と面談することが多く、お金についてもよく話題になります。お金を肌感覚で如実に感じるのが相続になったときです。例えば、75歳で金銭的に余裕のあるお祖母ちゃんがいます。その75歳のお祖母ちゃんの残りの人生の時間やお金の使い方。特に自分の子ども達に対して自分のお金をどうするのかということです。
高齢者が言わない意外なお金の話
「若いとき、もっとお金を使えばよかった」
上記の75歳のお祖母ちゃんが「お金貯め過ぎた!若いときにもっとお金を使ってもっと楽しんでおけばよかったわ」と言う高齢者に今まで出会ったことがありません。「若いときに使う1万円」と「年取ってから使う1万円」は価値・楽しさが違うから、若いうちにどんどん使えと言う人がいます。これは半分正解で半分不正解です。
高齢者の中で「お金貯め過ぎてしまった、貯め損じゃんこれ」となっている高齢者はいません。それよりも「資産を築き上げてきたからこそ今の余裕がある」という感情の方が大きいです。特に、決められた給料の中でずっとやってきたサラリーマンの人ほどこういう感情が強いのではないかと思います。
なので、意外と「若い頃もっとお金使って楽しんでおけばよかった」「マジメにやり過ぎた」というような後悔している人はいません。
「お金を使い切って死にたい」
例えば70歳のお爺ちゃんが「オレの人生残り20年くらいやし、この20年間は毎年1000万円ずつ使って貯金全部使い果たして、貯金ゼロにして人生終えるわ」という高齢者に会ったことがありません。
「貯金全部使い切って死にたい」という若者は結構いると思います。「人生楽しんでそう」とか「ムダなく使い切る」のが幸せなんじゃないかと思うんです。しかし高齢者でこれを言う人には出会ったことがありません。
保険の面談で相続の話になるのは、お金を持っている高齢者、その娘さん、そして保険営業マンの3者面談になります。高齢者は「これから豪遊してもお金を使い切れません」と言いますが、娘さんは「お母さん、お金使っていいよ。私にも相続が入って来るから何でもやっていいよ」と言います。そして娘さんは保険営業マンに「お母さん、これだけ持ってるんだから大丈夫ですよね?」と聞いてくるので「ぶっちゃけ全然問題ないです」と返します。「ライフプラン的には、ここからお金を使っても全然問題ありません」と言うのですが、当の高齢者は「いやぁ‥‥‥‥」という反応なんです。
その高齢者からすると、娘さんに「お金どんどん使っていいよ」と言われるのは「今ここでバク宙やって」と言われているのと同じに聞こえてしまいます。20代に「お金使ってください」と頼むと、余裕で豪遊したり高級車一発で使い果たします。
結論
若者が思っているほどの将来お金を使う楽しさは意外と小さい。かといって高齢者でお金を軽視する人はいない。この2点は矛盾しています。高齢者はこの矛盾する感情を同時に持っています。そしてその矛盾を受け入れた方がいいのではという結論です。
ということは、お金を消費すること以外の楽しみや目的を作れるかということが重要になります。何故なら将来お金を使う楽しみが意外と少ないかもしれないからです。
若い人が貯蓄・資産形成していくうえで感情のところで「貯め損」にはならないということです。なので資産形成はしっかりしていった方がいいということです。
例えるなら、結構実力を余して明治大学に合格した人がいたとします。この人が30~40代の大人になったときに大学受験のことを思い出して「オレ結構余裕で明治大学に受かったなぁ。あのときだいぶ力余して合格したからもっとサボっておけばよかったな」と後悔することはないと思います。「けどもっと頑張って慶応大学いってればよかった」という後悔は有り得ると思います。
こういう感覚と同じで「若いときもっとお金使えばよかった」という高齢者はいないのではないか。
「あの時もっとサボっていればよかった」「あのときもっとお金を使っていればよかった」ということは直後なら思いますが、時間が経つと結局それは過去になってどうでもよくなるのではないかと。今を生きているから。
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